十九綴

tsudzu-tsudzuri

劄記235

どうも、十九です。
4日ぶりの更新となります。
1ヶ月ほど更新していなかった前回と比べれば短いものでしょう。
気が向いたのでぼちぼち更新して参ろうと思います。
先週からようやく夏休みに入ったのですが、
来週でもう終わります。短いね。
このごろSplatoon2を買ったのでそれが楽しくて仕方がなかったり、
友人とMinecraftでドンパチやって楽しくて仕方がなかったり、
その辺のせいで食事・運動・睡眠が慢性的に乱れた感あります。
休みだからといって油断すると調子を崩してうまく休めません。
運動に関してはリングフィットアドベンチャーが効果絶大なのですが、
それ以外がまだまだおろそかになりがちです。
何をするにしても健康が最重要な基盤となってきます。
私の願いは心身ともにできるだけ健康でいることです。
今日はそういう微妙な疲れがたまったのか、
昨日たくさんリングフィットアドベンチャーで運動して疲れたからか、
はたまた特に理由はないけど調子の波が来ているやつなのか、
ハッキリ分からないですが妙に元気がありませんでした。
ご飯を食べてお風呂に入ったらけっこうよくなったんですけどね。
その辺の心をうまいことごまかすためにブログに着手したところがあります。
そんな前置きもほどほどにしてやっていきましょうか。




  【膏血】コウケツ
  ①人のあぶらと血。
  ②辛苦して得た収益または財産。
     ―広辞苑第六版より


今回も「あの組み合わせくらいでしか見ることのない字」シリーズやっていきます。
これは「軟膏」の「膏」として見ることが最も多そうです。
美術や建築などに馴染みがある方は「石膏」でも見かけることがあるでしょうか。
あとちょっと難しめの言葉ですが、
やまい 膏肓コウコウる」という慣用句がそれなりに有名ではあると思います。
これは不治の病にかかる、治療の見込めない病気にかかる、
転じて弊害が手の付けられないほどになることなどの意として使います。
由来や周辺情報については劄記190もご参照ください。


本題に戻りましょう。
膏血は①にあるようにあぶらと血のことを指します。
「膏血を絞る」というと人民から重税をしぼりとる意になるそうです。
血税であるとか、血と汗の結晶であるとか言うように、
血とかあぶらとか体の分泌物を努力の比喩とすることがありますね。
なんでこのあぶらがそのたとえになるかはよく分かりませんが。
でも②の意味はけっこう使い勝手がよさそうです。


更に余談になるのですが、「あぶら」は3,4種類ほど使い分けがされるそうです。
最も一般的なのは「油」と「脂」で、
それに「膏」と「膩」を付加することもあるようです。
雑にざっくり言うと「油」が液体、「脂」が固体です。
「膏」には「脂」と同様の意味もありますが、
化粧のあぶらやあぶら薬(軟膏・硬膏)としての意味も持っており、
「脂」よりはもう少し流動性のあるタイプな感じがします。
そして「膩」の使用例は正直見たことがないのですが、
皮膚からにじみ出たあぶら、あぶら汗のことを指すようです。
広辞苑第六版にはねっとりした脂肪の意ともあります。
一般的じゃないだろうし使うこともないだろう使い分けですが、
こういうのを知ることにロマンを感じます。




  【循良】ジュンリョウ
  法を守って善良なこと。また、その人。
     ―新漢語林より


「循環」くらいでしか見かけることのない字ですが、常識みたいな範囲にありますね。
言われてみればという感じですが、「因姑息」の中にもいたりします。
因循姑息とは、古いしきたりにこだわってその場しのぎをすることです。
「循」の主な意味は「したがう」「めぐる」「なでる」「ためらう」といった感じらしいです。
「法を守って」のあたりが「循(したがう)」ということなんでしょう。
しかし、ジュン/したがう といえば「順」がいますよね。
ぶっちゃけこいつと明確な違いがあるかと言えば特にないかと思います。
中国語の発音は違うようですけど、意味はだいたい一緒です。
実際「順良」という言葉もあり、そちらは
「従順で善良なこと。すなおなこと。(広辞苑第六版)」
「目上の人の命令に従っておとなしい。すなお。温順。(新漢語林)」
というような記載がなされています。
いちおうニュアンスは違うようですね。本当か知りませんが。
順良は従順で、循良は遵守って感じがします。
おや、また別の ジュン/したがう が出てきてしまった……!
順良かつ循良にやっていきたいものですね。




  【筐底に秘す】キョウテイにヒす
  人の眼にふれないように、箱の底深くしまっておく。

  【筐の水】かたみ-の-みず
  筐に汲み入れた水は漏れやすいことから、頼りにならないことにいう。
     ―広辞苑第六版より


奮発して2つ紹介しちゃいました。
こちらはアーケードゲームの「筐体」でしか見ないと思います。
なんでこんな字を使うことにしたんでしょうね。
「筐」の字の意味はズバリ「はこ」です。
もう少し細かく言うと、竹製の四角い箱のことらしいです。
そして和語で「かたみ」というのがあるそうなのですが、
こちらは目のこまかい竹籠のことを指すそうです。
確かにそんなので水をすくってもこぼれるばかりですね。ザルってやつです。
今度からザル警備のこととかを筐の水とでも言いましょう。


そして筐底。こちらは読んで字のごとく箱の底のことを指します。
「篋底」とも書くそうです。中身がちょっと違うね。
箱の底にしまって秘する、なんだかかっこいいじゃないですか。
実際の表現としても比喩としても使い勝手がよさそうな感じがします。
そして何より字面と音がなんとなくかっこいい。かっこいいのはつよい。
慣用句って便利だから使われる側面ももちろんありますが、
それを知っているから教養があってよいみたいな部分も少なからずあると思います。
燕雀エンジャクいずくんぞ鴻鵠コウコクの志を知らんや、とかその代表みたいなイメージあります。
燕や雀みたいな小さい鳥がどうしておおとりくぐいのような大きい鳥の志が分かろうか。
いや、できない。という感じです。実際使われるとかなりウザそう。
なんかかっこよさそうな慣用句を恥ずかしげもなく使ってみたいです。




  【含英咀華】ガンエイショカ
  文章のすぐれたところをかみ味わって胸中にたくわえること。
  英華を含咀ガンショする意。
  咀はかみ味わう。〔唐、韓愈、進学解〕
     ―新漢語林より


お分かりだと思います。咀嚼ソシャクの「咀」です。
鬱や薔薇などに並んで、読めるけど書けない漢字に入りがちなやつだと思います。
「ソ」と読むのは慣用読みで、漢音は「ショ」らしいです。
意味はそのまんま「かむ・かみしめる」といった具合です。
実際に噛みしめる意も、比喩としてよい部分を味わう意味もあるそうですよ。
英華というのは美しい花や光、転じて優れた詩文などを指すようです。
それを口に含んでみ味わう、という意味でしょう。
なんだか咀嚼よりもじっくりうまみを味わっている感がする気がします。
含英・咀華ともに同じ意味なので繰り返すことでそんなニュアンスが生まれるのでしょうか。
ここでは文章の意に限ったような説明がなされていますが、
音楽とかにも使っちゃっていいような感じがします。
余談ですが、「咀嚼」の「嚼」の方を用いた言葉も劄記14で取り上げています。見てね。




今日は5熟語(4項目)でしたいつもより文章量が多い感じです。
前書きがやや長いのと膏血の話が長くなったからでしょうか。
思ったより筆が乗ったということで精神状態は割と良好ということでしょう。
これは私の趣味として辞書を読んで気になった言葉をメモするブログでもあり、
その日にアウトプットした文章の雰囲気から当時の体調をうかがい知る、
日記のような役割も担っているのです。
読み返してみると面白いくらい文の書き方が違います。あまり見返さないけど。
ただいま23時55分です。このまま歯を磨いて気持ちよく眠ることにします。
また次回。