十九綴

tsudzu-tsudzuri

劄記171

どうも、十九です。
劄記171回ということで「171って素数っぽいな」と感じたのですが、
171 は 3²×19 で合成数でした。なんでやねん。
「これ素数っぽいな」と思った時に限って合成数です。
なんか前にも2回くらいこんなノリの話をした気がします。
というか各桁の和が9なので普通に9の倍数ですね。
各桁の和が3の倍数は割とすぐ気づけるんですが、
なぜか9には反応が遅れたりします。なぜだ。
それはそうと作業の進捗はまずいです。
余談はほどほどにして早めに劄記してきましょう。




  【魚の釜中に遊ぶが如し】うおのフチュウにあそぶがごとし
  [後漢書(張綱伝)]
  滅亡の近いことを知らないでのんきに暮らしていることにいう。
     ―広辞苑第六版より


面白い喩えですね。使い勝手がよさそうだし伝わらなくもなさそう。
先月あたりの私もまさにこんな感じだったと思います。
近々自らが起こした火によって煮えることを知らずに……
そういえばこれは漢語由来なので「魚」は「うお」と読みますね。
今は「さかな」が一般的ですが、なぜ同じような意味の言葉が2つあるんでしょう。
特に「うお」と「さかな」が指す範囲に違いはない気がするし、
発音とかからして語源とかも全然違いそうです。
でも「〇〇ウオ」みたいな魚の名前には今も使われるな。
「さかな」は「酒菜」に由来して、
酒の「肴」と由来が同じそうです。マジかよ。
特に酒とかご飯と食べる食用の「さかな」ということで、
今の魚類全般という意味に繋がっていったんでしょうかね。
こういうの考えるの面白いですね。紹介した言葉ほぼスルー。



  【穿ち過ぎ】うがち-すぎ
  人情の機微や物事の本質をうまくとらえているようで、
  実はそれが行き過ぎ、事実からはずれていること。
     ―広辞苑第六版より


これは非常に使い勝手がよさそうだし使う機会も少なくなさそうです。
というか割と私がこういうことしがちです。穿ちすぎる。
いわゆる誤用とかの話もけっこう挙がりますが、
穿った見方」とかで「穿つ」の使用は一般化しているので、
「穿ち過ぎ」はどの意味でも通用しそうな感じがします。
ちなみに一般的・適切とされる「穿つ」の意味ですが、


  ②せんさくする。普通には知られていない所をあばく。
   微妙な点を言い表す。
     ―広辞苑第六版より


  ②物事の真相や人情の機微をたくみにとらえる。
     ―明鏡国語辞典より


という感じらしいですよ。
そうやって穿とうとした結果ちょっと外れた感じになり、
なんだか疑ってかかったような見方をしてる風になりがちなんでしょう。
つまりそれが「穿ち過ぎ」ということではないでしょうか。
その穿ち過ぎた印象が大衆に残ってしまい、
穿った見方」の意味する所もちょっと変わりつつあるのではないかと思います。
いわゆる誤用を考えなしに、あるいは辞書にそう書いてあるからといって、
簡単に誤用と断言してしまうのはやや危険じゃないかと思っています。
あまり誤解のないような言葉を選びたいものですね。



  【蓬ける】ほお・ける
  《自下一》 文語:ほほ・く(下二)
  ①老衰などのために、知覚がにぶくなる。もうろくする。
   ⇨ほうける。
  ②髪などがほつれて乱れる。そそける。
     ―広辞苑第六版より


①に関しては「ほうける」が一般的でしょう。
「惚ける・耄ける」と字を当てるようです。
「ほうける」の文語体は「ほうく」ですが、
広辞苑には「ホウクはホホクの転」とあります。
「蓬ける」は「ほおける」であって、
歴史的仮名遣いでも「ほほける」と書くようです。
なんか大した違いじゃないような気もしますが、
何かがどうにかなって違うんでしょうね。よく分からん。
「ほうける」と「ほおける」の差もまた不思議ですが、
「蓬莱」でご存じのように「蓬」は音読みが「ホウ」です。
さっきから言っているように「ほおける」なので違いますが、
なんか漢語を和語っぽく活用させた語に見えるんですよね。
非常にややこしくて面白い語です。



  【縡】こと・サイ
  こと。類:事。
  ㋐世の中に現れる現象。
  ㋑行為の中身。また、発言の中身。
  ㋒生命。息・「縡切れる」
  ◇「こと」は広く「事」と書く。
     ―新潮日本語漢字辞典より


国字・国訓っぽい感じもしますがそうでもないらしいです。
いちおう漢語としても㋒以外の「こと」の意味はあるらしい…?
「縡」に糸が付いているということもあって、
「事切れる」よりも「縡切れる」の方がなんだか終わった感がある気がします。
たぶんルビがなくても文脈で読んでくれるでしょう。
ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
いやでも縡切れるって意外と使わないな。創作する方はどうぞ。




思ったよりたくさん書けました。
たぶん筆の調子も悪くないです。いいぞ。
こっちの筆の調子ばかりよくても困るんですけどね。
でもそんなに時間もかからず、それなりに文章も多く、
それでいてそれなりに中身もあるのが書けました。
この不調や逆境の中にしては上出来なのではないでしょうか。
そういうことなの早いこと切り上げて、
お風呂入るなり作業するなりさっさと寝るなりします。
そういうことでまた次回。