十九綴

tsudzu-tsudzuri

『踏切』

  【摘記】テッキ
  かいつまんでしるすこと。また、その記録。摘録。
     ―広辞苑第六版より


どうも、十九です。新シリーズです。
その名も『摘記』です。意味は先に書いた通り。
ぶっちゃけネーミングはけっこう適当です。雑。
私が何か気になったこと、疑問に思ったことなど、
ちょっとしたことから大きな事までなんでも扱う感じです。
主に「ふとした瞬間気になったこと」について調べる予定です。
気になったこと、疑問を調べたり掘り下げるコーナーですね。
なのでネット上の文献とかから適当に引っ張ってきて、
私の頭の中にある情報やら考えやら何やらも引っ張ってきて書く。
なのでいろいろかいつまんで書く、摘記です。


本当はちゃんと色んな出版・時代の辞書を参照したり、
その他の文献も精査して調べ上げたいところですが、
なかなか普段からそうしてる時間はありません。
なので大体は著名なWikipediaやら広辞苑やら、
ネットで手軽に手に入る情報源に頼ることとなります。
その変はご了承ください。信用し切らないでね。


あと摘記はナンバリングしない予定です。
扱う内容とか方向性もたぶん随時変わってくるだろうしね。
その代わり、『』二重鉤括弧をタイトルに付けようと思います。
ただ漢字だけだと雑記や音楽と混ざりますので。
雑記と音楽はそんなに情報性というか重要性はない(つもり)ですが、
摘記はそれなりに力を入れて書く内容の予定ですから。
前置きが長くなりましたが、摘記していってみましょう!



今日、こんなことをツイートしました。


踏切。踏み切り。踏切って言うからには何かを踏み切るんでしょうが、
なんかそういった雰囲気をあまり感じません。
これはなんか略されたりした言葉に違いない!
安易に語源を調べたりする前に、予想を立ててみましょう。
科学の実験やら数学の証明やらなんだとか、
何事も予想を立てることは大事なのです。
目的やら方向性やらが定まるし、結果の観測もしやすい。
あと単純に頭を使うのでいろいろ思考の範囲も広がります。



そういう訳で私なりにちょこっとでも予想してみましょう。
「踏み切る」。踏み切る、も使うことはあるし、
「踏ん切り」であっても割と使うことありますよね。
覚悟をもって区切りをつける、みたいな感じかな。
「踏み切る」もなんか「強い意志で踏む」「完全に踏み出す」
みたいな印象を受けます。たぶんそういう意味でしょ。


ではそれと踏切がどうに絡まるかを考えてみました。
たぶんこれは「踏み切り防止」みたいなやつの略なんです。
これから列車が通るっていうのに、線路に入ると危ない。
線路に入ろうとする、線路を踏み切るのを防止する。
あるいは線路に入ろうと踏み切る人や意志を防止する。
そういった意味で「踏み切り防止機」とかそういうやつの略なんだ。
「踏切遮断機」とか「踏切警報機」とかあるじゃないですか。
そのものとかその名称がいつからあるかは分かりませんが、
きっとそういうニュアンスの物は存在したはず!
案外それらしいと思います。私の中では納得いってる。


(追記:後で思いましたが、これにもちょっと食い違いありますね。
「踏切」って道路と線路が交差している箇所のことであって、
踏切遮断機とか警報器のことを指してる訳じゃないですね。
でもこれ書いてる時は踏切遮断機を完全に思い浮かべてました。)



それでは答え合わせといきますか。答え出ないかもだけどね。
まずはとりあえず思考停止で広辞苑を引いてみます。第六版です。


  【踏み切る】ふみ-き・る
  《他五》
  ①踏んで切る。
  ②跳ぶ前に強く踏んで反動をつける。
  ③転じて、思い切ってその事に乗り出す。
  ④相撲で、足を土俵の外に出す。ふみこす。


  【踏切】ふみ-きり
  ①鉄道線路と道路とが交差する場所。
  ②跳躍競技において、強く足を踏み切ること。また、その場所。
  ③思いきること。ふんぎり。
  ④相撲で、足を土俵の外に出すこと。踏越し。


こういう項目に語源が書いてあったりしますが、
今回はそういう記載はないようです。残念。
あと「踏み切る」に踏切っぽい意味の言葉もちょっとなさそうです。
これは略された説がそれなりに出てきたのではないでしょうか。


じゃああとは適当にググりましょう。
……Wikipediaには語源っぽいのは書いてなさそう。どうしよう。
と思ってたらYahoo!知恵袋にそれらしい言説が出てきました。
Yahoo!知恵袋をソースとすると馬鹿にされる風潮って今もあるんでしょうか。
曰く、こんな感じです
っていうかこれ知恵袋かと思いきやいろいろソースあるわ。

踏面切断=踏切

踏面=車輪踏面=(鉄道)車輪の通過部分

要は、踏切=鉄路に道路が平面交差する場所の事なので
道路が鉄路によって部分的に切断されてる…って事


へぇ、思ったよりそれっぽいな。
「踏面」という言葉を調べてみたところ、
「ふみづら」と「トウメン」とあるそうです。
「ふみづら」は「階段の水平面。また、その幅。」で、
「トウメン」は「レール頭部に接触している車輪の面。」だそう。
レールの頭部ってここだそうです。確かに頭だな。



……でもなんかちょっとずつ変じゃないですかね。
「踏面切断」だと踏面を切断してるっぽいじゃないですか。
上の説明だと「(道路を)踏面で切断している」みたいな言い方ですよね。
そういう意味で「踏面切断」と表すのはちょっと無理がある気がする。
どっちかと言うと「切断踏面」なのではないでしょうか。
あと「踏面切断トウメンセツダン」の略なのであれば「踏切トウセツ」と略されるのが筋では。
でも割とそういう不合理な語源の言葉も案外ある印象なので、
完全には否定し切れません。どうこう言えない。



ここでWikipediaさんに再登場してもらいます。
曰く、こんなことが書いてあります。

日本で「踏切」と呼ばれるようになったのは1870年代の末頃で、
それまでは「横路」や「横切馬車道」などと称されていた。


割と新しいような古いような。
本当ならその辺の時代の文献を漁りたいところですが、
どうもそういうこともできません。
あと引用しづらいのでこちらでの説明となりますが、
明治初期の踏切では踏切門扉が設置され、
それを踏切係員が開閉を行っていたそうなんです。
「踏切門扉」「踏切係員」という言葉がその当時からあるのか疑問です。


とか思ってたらこんなのも見つかりました。中段くらい。
徳冨健次郎 著、1913年発表の『みみずのたはこと』にこんな一説が。


『真の武蔵野を見るべく、
彼の家から近くて一里強北に当って居る中央東線の鉄路を踏み切って更に北せねばならぬ。』


どうやら当時、線路は「踏み切る」ものであったのですかね。
まぁ確かにあれを通るのはちょこっとした勇気みたいなものが要るかも。
とりあえずこういう実際の用例が判明したことにより、
私の予想と「踏面切断」の略である可能性は、
割と低いものであることが言えるかと思います。
これが全てであるとも断言できませんがね。でもたぶん低い。




いまいち判然としない結果となってしまいましたが、
今の私の調査力と興味で調べられる範囲だとこの程度です。
なんか適当に面白がってくれたら有り難いです。
そういう訳で、初の摘記でございました。またいつか。