十九綴

tsudzu-tsudzuri

劄記115

どうも、十九です。
やることからおおかた解放されたので、
今日はそれなりに存分に休みました。
土曜は友人と遊んで心を養う予定なので、
今晩や日曜にがんばらないといけないですね。
そのための休養です。休むのは本当に大事。
そういうことなので特に書くネタもない。
さっさと劄記でもしちゃいますかね。




今日は新しい辞書の登場です。
その名も『新潮日本語漢字辞典』です。
日本語の語彙のための漢字辞典ですね。
漢和辞典ならぬ和和辞典……?いや違うな。
漢の字といっても日本語と一体化した部分も多いので、
日本語的な視点に沿った漢字辞典ってことですね。
そういうことで今回はすべて出典がソレです。
では張り切っていってみましょう。



  【膅発】トウハツ
  弾丸が砲の筒の中で爆発すること。
  「膅発とは、連続射撃で熱し切った砲身の鉄材が波をかぶってもろくなり、
   火薬のガスの圧力に耐えかねて自爆をおこすことで〔山本五十六〕」


たぶん日本語的な用法なんでしょう。近代にできた言葉かな。
そして、例文の出典も日本語のものが使用されています。
日本語なので使い方も分かりやすくていいです。
暴発よりも狭義な感じがしますね。なんかかっこいい。膅発。
Wikipediaには「腔発コウハツ」という名前の項目で立ってます。
大日本帝国海軍海上自衛隊では「膅発」「膅中爆発」「膅内爆発」と言うそうな。
比較的新しくできただろう語に、こういう変な字が使われるのいいですよね。
「細胞」とか、「胞」ってよく意味がわかんない字だし、
「哺」とか「爬」とかもよく意味わかんないけどほぼアレにしか使わないし。
こういうのすき。もっと知りたい。



  【扼する】ヤク-する
  ①押さえつける。締め付ける。
   「此時このとき魔の如き力はのんどを扼して其背をつ、
    人の死と生とはすべて彼が手中に在りて緊握せらる〔金色夜叉〕」
  ②要所を押さえる。要点を押さえる。
   「杉は生駒と共に二隊の兵を随へて、
    大和橋を扼して待つてゐた〔堺事件〕」


こんな風に、日本語的に活用されたものも載ってるんです。
それで例えば②なんですが、「要所を押さえる」。
勉強とかしてて要点を押さえるって言いますよね。
そういう雰囲気で使えるのかなーと思ったんですよ。
でも例文を見てみると、そういう雰囲気じゃない。
というか勉強で要点を押さえる、っていう言い方自体が喩えなのかな。
っていうニュアンスを日本語の例文から読み取れるんですね。
いやーいい辞書ですこれ。面白い。今度からもっと使おう。



  【憊】ハイ(漢) ・バイ(呉) つかれる・くたびれる
  つかれる。体や頭を酷使したために力が尽きる。
  ひどく疲労してぐったりする。くたびれるとも読む。
  「疲憊・困憊・老憊」「かれ精神こころも全くつかれ果てみ果てて居た〔生〕」
  「今日も朝から一日奔走かけあるいたので、全然すっかりくたびれてしまッて〔義血俠血〕」
  ◇「つかれる」は広く「疲れる」と書く。
   「くたびれる」は「草臥(れ)る・足労(び)れる」とも書く。


ルビを振るのがめっちゃ面倒だった。ルビ振るの、地味にやりづらいんです。
それはそうと、こういう当て字的な用法も細かに記載されてるんですね。
「くたびれる」は「草臥れる」しか知らなかったので勉強になった。
さっそく「くたびれる」を辞書登録したぞ。これは通じそうだから使おう。
あ、でもこれ「憊れる」って「つかれる」と見分け付かないじゃん。
まぁいいか。それはそれでよし。ロマンです。



  【沮喪】ソソウ
  気力がくじけて、元気を失うこと。
  「僕一個の貯めには無意義な生活が、貴女の為だとなると、意義を有つて来る、
   沮喪した勇気を奮起して又奮闘する気になる〔其面影〕」
  ◇「阻喪」は「沮喪」の書き換え。


この言葉を知らなかったのですが、変換すると普通に出てきました。
手持ちの電子辞書の広辞苑にも、音声付きで載ってました。
ってことは需要とか使用頻度がそれなりにあるメジャーな言葉ってことなんですよね。
そういう時ってなんかけっこうテンション下がります。
なんだ、有名なんだ…… みたいな。そういうのありません?
劄記自体、マイナーな言葉を掘り起こしてメモして、
私の心に留めるだけでなく誰かの目について知られてほしいなと、
そういう気持ちもあって始まったものなのでなんかアレなんです。
でもまぁこういうのもいいでしょう。たまにはある。
私はよく沮喪しますね。よく沮喪するから使いたいんだけど、
粗相と似てるから使いづらいんだよな、これ…… 字だけならいいけど。
でもたぶんアクセントは違いますよね。
沮喪:ソ↓ソ↑ウ↑  粗相:ソ↑ソ↓ウ↓  のイメージ。
まぁいっか。



  【浪漫斯】ロマンス
  ①空想的で冒険や甘美な夢を描いた物語。
  ②甘美な恋愛小説。また、恋愛に関する事柄。恋物語
   「さうして両方とも嘘と信じては疑はない程
    浪漫斯に縁の遠い女であつた〔彼岸過迄〕」
  ③吟遊詩人の歌った、叙情的な歌。


浪漫はよく見ますが、浪漫斯は見たことなかったです。
ほほう、そんな当て字があるんですね。こんど使うか。
そういえば、形容詞みたいな意味にする「的」ってあるじゃないですか。
具体的とか映像的とかそういうやつ。
あの「的」って Romantic みたいな "tic" の音訳って説があるらしいですね。
全部が全部そうという訳ではないようですが。要出典。
「浪漫的」も「ロマンティック」と読ませるようです、やはり。
なんか興味深い現象ですね。





言葉を探すのに思ったより時間がかかってしまった。
日本語を引くための漢字辞典感が伝わる語を探すのに手間取った。
あとルビを振るのが面倒くさかった。
でも面白い辞書なので今後もバンバン使っていきたいところですね。
時間かかったから後書きもさらっと終わらせよう。
明日は友人と一日中遊び倒す予定です。わーい。
そんな感じでまた次回。更新忘れないようにね。