十九綴

tsudzu-tsudzuri

劄記150

どうも、十九です。
気付けば劄記も150回を迎えました。
早いですね。ちなみに劄記100は2019年7月5日でした。
4ヶ月ほど経って劄記が50回進むというと、
それはなんだか遅めなような……?
まぁ10月はいろいろあって忙しめだったし、
それを含めるとそれなりに妥当…かな?
ちなみにブログ設立からは291日だそうです。
もうすぐ300日ですね。もうそんなに経ったの!?
ついこないだ始めた気がするんですがね。
いやぁ、時の流れって恐ろしいですね。
一日一日、ちょっとした時間を大事に生きていきたいです。
そういうことなので早めに劄記しましょ。




目録にまとめたことにより、
どの五十音が多く、あるいは少なく扱われているか可視化されました。
ある程度その偏りは埋めたつもりなのですが、
より詳細に分かるようにするために、
各五十音が何熟語扱われているか数字をつけました。
2019年11月9日現在、〖し〗が66熟語で最も多く、
〖つ〗と〖ろ〗が6熟語で最も少ないです。
なんで11倍も差が出てるんですかね。
ちなみにワースト2位は7熟語で、
〖な〗〖ぬ〗〖ね〗〖の〗〖み〗〖め〗〖ゆ〗〖る〗です。
これはこれですごい偏り方だ…。
ということでこれからはこの差をできるだけ埋めます。
ひとまず全五十音が10以上になるようにします。




  【喘月】つきにあえぐ
  呉の地方の牛が炎熱を恐れるあまり、月かげを見ても太陽かと思い、
  息をせわしくすること。過度に恐れることのたとえ。
  また、取り越し苦労のたとえ。〔世説新語、言語〕
     ―新漢語林より


これまた面白いですね。杞憂とも似てるけどちょっと違う。
杞憂は怒るかわからないこととかにいらない心配をする感じでしょうが、
月に喘ぐ は勘違いや深読みをして余計に苦しむ感じっぽい。
これは使えそうですね。伝わるか分からないけど。
しかし喘ぐというと喘息の喘ですので、
元々は荒く呼吸するとか苦しむとかそういう意味なんですけど、
今は専らなんかアレな意味で耳にするのが問題ですかね。
しかも月とセットになってるので閨事ねやごとみたいな雰囲気が余計に増してる…
とりあえずまぁ心の隅に置いておきたい言葉です。



  【月を指せば指を認む】つきをさせばゆびをみとむ
  [大仏頂経]月をゆびさして教えると、月を見ないで指を見る意。
  道理を説いて聞かせてもその本旨を理解できず、
  その文字や文語に拘泥して詮索することをいう。
     ―広辞苑第六版より


なかなか言い得て妙ですね。仏教関連のやつはほんとに喩えが秀逸です。
自分はそこまで酷くはないだろうと思ってしまいがちですが、
どこかしらそういう節がきっとあるんだと思います。
あとは状況とかによるんでしょうか。時間や精神の余裕にもよりそう。
ふとした瞬間に視界は狭まりがちですよね。
常にいろんな部分に余裕を持って生活できるようにしたいものです。
折角いい言葉を紹介したのにうまい文言が思いつかない悲しみ。



  【聾喑】ロウイン
  ①耳がきこえないことと、口のきけないこと。
  ②上の者と下の者との気持ちが互いに通じないたとえ。
     ―新漢語林より


②がまた面白い意味ですね。でもこれ品詞はなんだ…?
①が意味するように、聾が耳が聞こえないこと、
喑が口のきけないことを指すようです。
このご時世だと言葉狩りに遭いそうですね。
言葉狩り以前に普通に差別的な内容かな。ちょっと分かりかねます。
とにかく①を加味すると名詞なんでしょうが、
意味からすると形容(動)詞っぽいですかね?
あの部下と上司は聾喑だ、みたいな。
「聾喑だ」で使えば名詞でも形容動詞でも同じ形になりますがね。
あっちは聞くのがうまくいかない、あっちは言うのがうまくいかない。
意思疎通がうまくいかないのをいい感じに喩えてるとは思います。
うまく疎通が取れない原因を互いに問題視し、
どちらかに責任を押しつけることなく解決に向かえるといいんですがね。
なかなかそううまく運べることって少なそうです。
人付き合いって本当に難しいですね。そういう面でも余裕を持ちたい。



  【露胆】ロタン
  かくしきれない真情。胆は、本心。
     ―新漢語林より


胆に「本心」みたいな意味があるのはなんとなく意外かもですが、
「大胆」「胆力」「心胆」「落胆」なんて熟語もありますし、
心にまつわる感じの意味があるのは分かってもらえるかと思います。
内臓系の言葉、だいたい「心」みたいな意味になりがちです。
胸中、中腸、腹心、肚裏トリ(はらの内)……
ぱっと出てくるだけでもこんなもんです。
調べると肝膈カンカク(肝臓とみぞおち)、肝肺(肺肝)、肺腑とかもヒットしました。
でも大体「心中」「本心」「真心」の意味ばっかりで、
あとは「心中を打ち明ける」が次に多いって感じです。
そんな中で「かくしきれない真情」というのは珍しいし惹かれるものがあります。
心情かと思いきや真情なんですよね。
おもてなし的な真心の意味もありそうですが、
偽りのない真の心、本心ということでしょう。
露胆……これはなかなか詩情を誘う言葉ですね。
まぁ私は詩は書けないですけどね。書けないというか書かない?
そういうノスタルジックな感じといいますか……
今っぽく言うとエモい感じになります。やはり辞書はいいです。




今回は「つ」と「ろ」を増やしました。
これで各々8熟語となりましたので、
次回また2つずつ増やせば10熟語になって目標達成ですね。
ぼちぼちまたやってきましょう。楽しみ。
ところで今回はどちらかというとやや暗めの語選でしたが、
その割にはあまり暗い感じが出ない紹介になった気がします。
今日楽しいことがあって上機嫌なのももちろんですが、
だんだん私の性格がいい方向で安定してきたのもありそうです。
実は日記的なテイストを持たせつつもほぼブログを読み返したことはないんですが、
目録を作るときにちょっぴり読んだりしたんですよね。
すると初期の私とかかなーり根暗な感じでした。
もう文章からにじみ出る陰キャ感。すごかった。
それに比べたらもう別人なんじゃないでしょうか。言い過ぎ?
でもまぁ私が成長したのは確かです。やったね。
そういう感じで今日はこれまでとします。また次回。